地獄に居る筈のキミへ
□一章
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「大丈夫、落ち着けよ」
キル兄が満足して、カゴを手にレジに向かう。
「焦んなって、まずは支払い☆」
えらくご機嫌なキル兄を追って、いつ稼いだんだか札束を突き出すキレ兄が続く。
ご自慢の黒いカバンはやっぱり金目のものでパンパンだ。
焦りながら泣きそうな顔をして、スニーカーを包む店主が可哀想になってくる。
オレは剣を抜いて軽く刀身を拭う。
さっきのでついた血糊も少しはマシだろうけど、戻ってから綺麗に手入れしないと使い物にならないだろう。
とはいえ、ずいぶん切ったからか酷い刃こぼれだ。
一度研ぎなおさなくちゃいけない。
既に切れ味はほとんどないだろう。
「スカイさん、それ……」
「プーチンは見ない方がいいかも」
オレはきっぱりそう言い切った。
こんな一般市民に目の前で人がばたばた切り殺されるところなんて見せられない。
まして、血塗れのこの剣を見たら気を失うかも。
そうなりゃ邪魔なお荷物だし、面倒だ。
「何人くらい、殺したんですか?」
「さぁな、オレも知りてぇや」