小  説

□僕と僕
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  ――少年と僕――

今日も塾だ。

終冬の冷たい風が、僕の頬を打った。週4日塾に通わされている。そんなストレスからか、家を早く出て塾近くのデパートのゲームセンターに足を運んだ。デパートなら不良に絡まれて、母に連絡の行く心配が少ないからだ。――格闘ゲームで遊んでいると僕と同じ歳くらいの少年が横に立っていた。

『一人で遊んで楽しいかい? 』

『あぁ』

僕はおぼろ気に答えた。
初めて会った気がしなかった。寧ろ親近感が湧いた。一人で遊んで楽しいわけがない。誰かと一緒に遊びたかった。だけど、友達なんかいない。
――時間を経つのを忘れ、その少年と夢中で遊んでいた。お金も底をつき始め、携帯の画面に目をやると塾の時間を一時間も過ぎていた。

『淳二。僕もう行かないと。また会えるかい? 』

『淳一が会いたくなったらいつでも会えるよ』

意味がわからなかった。取り合えず、携帯のメールアドレスを渡して足早にその場を後にした。


その足で塾に向かい、1時間勉強して重い足取りで家に帰った。
僕の倍はある玄関のドアを開けると、エプロン姿の母が仁王立ちしていた。

『今日ゲームセンターで遊んでいて、塾に遅れたそうね? 』
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