七日間の奇跡

□序章ーカウントダウンー
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12月16日

………

空はどんよりと曇り、草木から水の雫がポツリと時々落ちる。
そんな雨上がりの空を茶里杏奈(サリアンナ)は眺めていた。
彼女の家は和菓子だ。一階が和菓子を売る店謙調理場になっている。二階が茶里家の部屋となっている。
雨上がりの景色は嫌いじゃない。彼女は外をベランダから見回して思った。
彼女は起きたばかりのため、パジャマ姿だ。冬の寒い季節とはいえ部屋は暖房で暖かい。彼女はハンガーから制服をはずし、パジャマを脱いで着替える。月曜日は憂鬱だ。実に体がダルい。紺のスカートを履きながら彼女は思った。
三人家族の彼女にとって兄弟とは決して羨ましくないものでは無かった。事実、親友に弟がいると初めて聞いた時は少し落胆した。彼女も一人っ子だと思っていたからだ。そんな彼女の親友の遊佐由依(ユサユイ)は今まさに弟に詰め寄っていた。

「だーかーら!なんでよ!アンタがなんで!」

小さな住宅街の赤い屋根の悪くいえば地味、とゆうか在り来たりな家の中で今まさに遊佐兄弟が言葉をかわしていた。

「うるせーな!別に俺が誰と付き合おうが勝手だろ?たくっ・・・」

弟の部屋をパジャマ姿で突撃していたのは遊佐由依。正真正銘の彼の姉だ。
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