七日間の奇跡

□目覚めた者
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12月18日



朝の斜め上からの日差しを受けながら、私は学校への道を走っていた。
普通に考えて遅刻すれすれ。
間に合うかな?ぎりぎりかな?
ああー!もう!
走るのに疲れてきた・・・。
「はぁ・・・はぁ・・・疲れた・・・」
膝に手をつき、下を向いて呼吸を繰り返す。
背後から自転車のベルが鳴っているのに気付いた。
自転車は私の隣りで急停車した。
誰だ?
顔をあげて見た先には喜信がいた。
「自転車通学は校則違反だよ・・・」
喜信はケラケラと笑ったあと、親指で後ろの荷台を指した。
「乗ってく?」


………

人間という生き物はなんと心の移りかわりが早いのだろう。
校則違反だと注意した矢先に後ろに乗ることになるとは。
私は自嘲気味な笑い顔を浮かべながら、学校近くの駐輪場に自転車が入っていくのが分かった。
「あと五分もある。ここからなら歩いて三分だ」
喜信が取り出した携帯で時間を確認しながら言った。
結局、私は遅刻せずにすんだわけである。
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