七日間の奇跡

□木高優樹
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12月20日


………

学校の終業式を終えた私達は、ある場所に向かっていた。
学校の先生に職員室に呼ばれて言われたこと。
「留置所に行ってこい。お前ら三人が行くなら一番妥当だろ」
会いに行くのは木高優樹、人一人を銃殺した人間。
国道を、喜信の自転車の荷台に座りながら進む。
心なしか、体が震えそうになる。
小さな燕が鷲に会ったらこんな気分なんだろうか。
小さなシカがライオンに会ったらこんな気分なんだろうか。
唇をギュッと結び、目を閉じて、喜信の体にしっかりと掴まる。
大丈夫・・・大丈夫・・・。耳元で、喜信の鼓動が奏でる言葉。
大丈夫・・・大丈夫・・・。
目を閉じて、真っ暗な世界に光りが差した。杏奈がいて、私がいて、裕がいて、喜信がいる。
幸せな光り。
懐中電灯でそこだけ照らしたような、光り。
自転車が止まるのを感じた。
私はしぶしぶ目を開けた。
陽の光りに一緒目が眩む。
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