30万打記念小説@*薄桜鬼ED後

【斎藤さんと雪遊び】




白い息を吐き、千鶴は目を輝かせながら外の景色を見る



昨晩、空からはらはらと舞い降りて来た白い雪




「やっぱり…積もってる!」




そのまま彼女は踵を返すと、彼の名前を呼んだ





「一さん!!」










「千鶴、寒くはないか?」




「平気ですよ」




「そうか」




ここ斗南は極寒の地であり、雪が降る事は珍しい事ではない



しかし、新雪が太陽に反射して眩い光で輝く様は何度見ても綺麗である



千鶴は嬉しそうに夫を呼べば、斎藤は穏やかな笑みを浮かべながら、大人しく妻に手を引かれ外へと出る




「綺麗ですね!」



「ああ」



斎藤にとっては、この雪よりも、それを見て嬉しそうに微笑む千鶴の方が魅力的に見えるのだが、当の彼女は全く気付かない




「あっ、そうだ!」




「…む、どうした」




突然千鶴は何か思い立ったようにしゃがみ込むと、何かを作り始めた





そうして振り返った彼女の手のひらにあったのは





「雪兎…か」




「はい!」







手のひらの上にちょこんと乗せられていたのは可愛らしい雪兎



「屯所時代も、作りましたよね」



「ああ、そうだな」




激動の時代の日々を思い出し、斎藤は目を細める




まさか自分が千鶴と共に生きる事になるとは…




目の前にはにこにこと笑みを浮かべる少女




ふと、どうしようもなく幸せを感じ、斎藤は千鶴を優しく引き寄せ




ようとして手が止まる




「…千鶴」




「あ、ちょっと待ってて下さいね!」




引き寄せる瞬間、すっと千鶴はしゃがみ込み、再びせっせと何かを作り始める



「ふふっ、出来ました」




「…何故、三つ作ったのだ?」




出来たと、再び見せられた手のひらには、全部で三つの雪兎




「えっとですね…これは、一さんでこれは私で…こ、これは」


不安そうに顔を赤らめながら言葉を紡ぐ千鶴に、斎藤の心臓がドクンと音を立てる





「っ…まさか」



「あ、あのっ…きゃっ」



「千鶴…」



ふわりと抱き締められ、千鶴はあたふたとする



「…有り難う」



「あ…」




ふわりと微笑まれれば、何故か溢れ出す涙






「…はい」












その晩、斎藤家の扉の前には、二つの大きな雪兎、そして真ん中に小さな雪兎が、仲睦まじく寄り添っていた










翌日



「きゃっ、何か兎さんが沢山増えてます!」


「千鶴…」


「一さん?」


「…俺はこれ位家族を増やしていきたいと思う」


「…(一、二、三、四、五…)



む、無理です!!!」









まさかの展開(笑)


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