存在

□第二話
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「お父様!お願いです!」
「ならん。」
「何故ですの?」



罪人部屋を離れると、ナタリア様の声が辺りに響いていた。
周りの兵士たちも何事か、と声のする方を見やる。



「お前には危険すぎる。」
「?どうかなさいましたか?」
「シェンラか、いや何でもない。」



私がお傍に寄ると、何だかとても重い雰囲気をお二人は醸し出されていた。



「お父様!!」
「この話は終わりだ、もう遅い。寝なさい。」
「・・・・・・。」
「シェンラ、ナタリアを部屋へ。」
「心得ました。」



普段、滅多と口論になどならないお二人。
陛下も実の娘には甘く、寛容なように見えていたのだけれど。
よほどの事だったのでしょうか・・・・・・?



「一体なんのお話をされていたのですか?」



ナタリア様を私室へとお送りする途中、差し出がましいとは思いつつも、私は尋ねた。



「何でもありませんわ・・・・・・。それよりシェンラ、明日ルークに登城するようにと使者を手配なさい。」
「承りました。」
「おやすみなさい。」



ナタリア様はそれ以上の追求を逃れるかの様に自室へと入られる。



「はい、おやすみなさいませ。」



ナタリア様も陛下同様、何でもないと言う。

一体何のお話だったのだろう・・・・・・。

それが判るのは明日になってからだった。




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