奉還師

□ACT3
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「・・・・・・寝れなかった・・・。」



よく判らない内に夜は更けて。
案内されたのは超ふかふかベッド。
・・・・・・高そう。
そんなとっても気持ち良い筈のベッドに横になっても、私は眠る事が出来なかった。



「はぁ〜。」



理由は判ってる。
見渡せばやっぱり知らない場所で。



「奉還師、か・・・。」



報われなかった想いを還す。

そんな事云われたって、ふっつーに、ふっっっつーに過ごして来た私には何が何やらで。
そりゃ、皆に会えて嬉しいって気持ちは在る。
だってファンだし。
でもやっぱり家に帰れるのかなとか、これから如何なるんだろうとか考えたら不安は尽きなくて。



「まだちょっと早いかな?」



俺、隣の部屋だから何か在ったらおいで。
昨日、寝る前に云った晶の言葉は私を少し楽にしてくれた。



「晶、起きてる?」



隣の部屋の扉をノックして、ノブを回すと其処には・・・・・・。



「おや、おはようございます。」
「しっ、失礼しましたーー!!」



私は直ぐ様扉を閉めた。
扉を背に肩で息をしている自分がいる。

・・・・・・何でいる訳・・・?

私が見たのは寝ている晶と、それを・・・眺めていたと云って良いコンラッド。
確かに二人は恋人同士だし、ラブラブっぷりが見たいと思っていた。
でも・・・・・・。
心臓に悪いって!!



「・・・ん?今、紗稀の声しなかったか・・・?」
「さあ?気のせいじゃないですか?それよりもう少し眠れますよ。」
「・・・ん。」



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