奉還師

□ACT5
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「おっはようございま〜す!!」
「お、おはよう・・・。」



私は朝一番、皆に会うや否や大きな声でご挨拶。
皆朝から元気ですね、と挨拶を返してくれる。
でもこの間泣いた事を知っている有利はちょっとびっくりしてた。

・・・泣いたって現状は変わらない。
でも何処かすっきりして、吹っ切れた気がする。



「昨日はごめんね?もう大丈夫だから。」
「無理するなよ?」
「うん、有難。」



だってうじうじとかじめじめとか、本来の私じゃない。
前向きだけが取り柄の私が、何時までも泣いてちゃ自分で気持ち悪い。
奉還師でも包装紙でも何でも来いってのよ。
やるだけやったろうじゃない。



「いやはや、女の人って強いよねぇ。」
「ったり前だ。男なんかに負けてられっかよ。」



私が決意新たに朝食を頬張る中、健と晶は呟いた。



「でさ、結局奉還師って何すれば良いの?」



この間みたいに黒いモヤモヤ払えば良いのかな?
でもあれって一体如何云う時に現れるのかな?
そりゃ報われなかった時なんだろうけど。
そんなの日常茶飯事だよねぇ。



「そうだよな、ただ還せって云われても判んないよな。」
「・・・想いにはこれ、って云う形はないし決まりもない。だから一概にこうだ、と云える事はないね。」



おいおい、大賢者にも判らない事を私に如何しろって云うんですか。
何?フィーリングでやれと!?

その時だった。
息を上げたギーゼラが駆け込んで来たのは。



「如何したの、ギーゼラ?」
「ウルリーケ様が至急眞王廟に来られるように、と。」
「眞王廟に?」



昨日行ったばっかじゃん、と有利。



「行ってくれば?多分奉還師に関する新しい情報が掴めたんじゃないかな?」
「行ってくればって、ムラケンは行かないの?」
「大体予想はつくからね。君達の報告を待つよ。」
「じゃあ村田、留守番頼むな。」



至急と云う事でぞろぞろと部屋を出て行く。
一人残ったムラケンは・・・。



「絡み合う運命の糸は彼らに解く事が出来るかな?ねぇ、眞王・・・。」



遠くなる私達の背中を見ながら、溜息をついた。



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