奉還師

□ACT7
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「おはよう!」
「晶!?」



昨日は晶の事が気になって眠れなかった。
隣の部屋から何か聞こえないかと試してみたけど無駄で。
如何すればいいかやきもきしていた所だった。



「大丈夫そう、だね。よかったぁ。」



だって昨日と違ってすっきりした顔してるもん。
そう笑うと晶は一瞬驚いた顔をして、同じように笑った。
心配かけて悪かったな、と。



「お前がコンラッドを焚き付けてくれたんだって?さんきゅな。」
「ううん、私は何もしてないよ!?」



只、只晶が哀しむのが嫌だっただけ。
だって晶が苦労人なの知ってるし。



「皆もごめん、ちゃんと説明するから。」
「無理するなよ。」
「はは、有利に心配されるなんて終わったな。」
「だね。」
「如何云う意味だよ!?二人とも!」



あー、いいな。
なんかこの三人和むな〜。



朝ご飯を皆で食べた後、ギュンターが出してくれた食後のお茶を飲みながら、晶は話してくれた。

両親が死んだ火事の原因が報われない想いのせいかもしれない事。
その想いを発した人物と出会うかもしれない事。
それに伴って湧き上がった感情の事。

敵が現れるかもしれないって如何云う気持ちなんだろう。
私はそんなの無縁の世界で。
親も二人ともいる普通の家庭だから、想像するしかない。



「そうだ、気晴らしに城下に行かない?」
「城下!?行きたい行きたい!」



有利の提案に一番に乗ったのは私。
だって折角のまるマの世界、色んな所を見たいよ。



「そうだな、紗稀は行った事ないもんな。」
「私、魔王饅頭食べたい!」



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