奉還師

□ACT8
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「あー!」



私は鮮やかなオレンジ色を見つけた瞬間思わず叫んでしまった。
然も指で指すと云うおまけ付き。
指された本人はと云うと、背中を震わせた後、恐る恐る振り返った。
その顔はまるで、何か悪い事しました?って感じで。
両手を上げれば完璧だったのに。



「ヨザックだぁ!」
「うっ・・・。」



挨拶代わりに鳩尾に一発。
わ、やっぱかたーい。



「誰だお前・・・てかもろに入ったんですけど・・・。」
「こらヨザック、言葉遣いに気をつけろ。彼女は奉還師だ。」
「この嬢ちゃんが?」



お腹をさすりながら私を見るヨザック。
あ、若干涙目だ。
そんなに痛かったのかな。



「・・・名乗った覚えはないんスけど・・・。」
「彼女は特別だからね。僕達以上にこの世界を知っているよ。」
「いや、そんな知ってる訳じゃないから!?」



焦ってムラケンの言葉を訂正する。
ぶっちゃけキャラの事は覚えてるけど、世界って云われると違う気がする。



「へ〜、また双黒ですか・・・。同じ場に双黒が四人もいると有り難みも何もないっスね。」
「ヨザック。」
「ま、俺達にとっては通常色だしね。」
「でも歴史上から見ると凄い事なんだよ。同時期に双黒が存在するのは。魔族の一生を持っても見れるか見れないかの確率だからね。」
「へー。」



確かに日本人は黒が普通だから、私の感覚は有利達に似ている。
黒が珍しい事は判ってるんだけど、実感はないな。



「にしても、こうして見るとアキラだけ毛色が違うな。」
「・・・如何云う意味だ、こら。」
「陛下達はこう、可愛い系で、お前はどっちかってぇと綺麗寄り?」



た、確かに・・・。
有利とムラケンは何だかまだまだ幼い感じが在るけど。
晶は垢抜けて、大人っぽい感じ。



「・・・喜ぶべきか、喜ばざるべきか。」
「・・・微妙だな。」
「ねぇねぇ、それよりヨザック!グリ江ちゃん見せてよ!グリ江ちゃん!」



見てみたかったんだよね、生グリ江ちゃん。



「そんな事まで知ってるんですか・・・。」



渋々、と云う感じだったが、案外のりのりでやってくれたヨザックなのでした。



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