奉還師

□ACT12
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「「ぎゃーー!!」」



私なんて食べても美味しくないんだから!
お腹とかお腹とかお腹にはお肉は在るけれども!?

南無阿弥陀仏と唱える有利と抱き合いながら肩を震わせた。



「その声は陛下?」
「・・・・・・?」



・・・その素敵ボイスは・・・。



すっかりパニクった頭で私は声のした方を見る。
其処には目をまん丸に開いた爽やか腹黒男。



「四人ともいるのか。」



眉間に皺を寄せたゴッドファーザー。
・・・え?どゆこと?



「「何で此処に!?」」



更にパニクる私と有利。
だって此処は地球の筈で。
確かにコンラッドとかも渡れば来れるけど、その為には大がかりな準備が・・・。



「アキラ!!」
「うぷ。」



おおぅ。
何はともあれ、晶を視界に入れた瞬間抱きついたコンラッド。
それを何とか踏ん張って耐える晶。

ハート乱舞。
頭からお花が飛んでるよ。



「お前ら何で此処に?」
「何時此方にお戻りに?」



話が完全に噛み合ってない。
私達は此処が地球だと思ってる。
でもコンラッド達はあちらだと思っている。
互いに世界を渡った記憶はない。



「時空が歪んでいると云う事か?」
「しか考えられないだろうね。多分この結界の空間だけ一時的に繋げたんだろう。」



そんな事が可能なの?
でも事実そうなっているのだから疑いようもないんだけど。



「でも戦闘員が確保出来たのは嬉しい誤算だね。」
「だな。」



どうやらコンラッドとグウェンダルもあちらの森の中で迷い込んだらしい。
つまり此処はあちらでもなく此方でもないって事?



「所でさ、二人は何時までそうしてるの?」



晶達は何時もの事だとして、と。
二人とは晶とコンラッドの事じゃなくて。



「「へ?」」



私と有利の事。
直ぐ目の前の有利の瞳と目が合った。
そう、やけに近い。
まぁそりゃそうだよね、抱き合ってるんだもん。



「〜〜〜〜っ!!??」
「ご、ごめん!!」



お互い状況を理解した瞬間顔が真っ赤になった。
恐怖の余りの咄嗟の行動だったけど・・・。



「私こそごめん。」



何かそういや意外にしっかりとした胸板の感触とか。
固い腕の筋肉とかの感触がやたら残って・・・。



「「・・・・・・。」」
「いやー、微笑ましいね。」
「からかってやるなよ。」



どうしたらいいか判らない私達に皆妙に笑顔だった。



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