存在
□第十七話
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やっとの思いでアクゼリュスへと到着した一行。
だが、そこに広がっていたのは見るも無残な姿。
街中に障気のせいか煙のような靄(もや)が漂い、人々はなす術(すべ)なく、地面に座り込む者もいる。
「こ・・・・・・、これは・・・・・・。」
「想像以上ですね・・・・・・。」
流石のジェイドも驚きを隠せない。
ナタリアが地面に倒れこんでいた人へと駆け寄る。
そんなナタリアを見てルークは・・・・・・。
「お、おい、ナタリア。汚ねぇからやめろよ。伝染るかも知れないぞ。」
ルークの言葉にナタリアは目を見開く。
「・・・・・・何が汚いの?何が伝染るの!馬鹿なことを仰らないで!」
彼女の目には怒りとまでは言えないものの、信じられない、という目をしていた。
しかしそれはすぐに消え、横たわっている人へ向けられる。
「大丈夫ですか?」
「あんたたちキムラスカ側からきたのかい?」
そこに声をかけてきたのは比較的障気の影響を受けていなさそうな発掘員。
「あ・・・・・・あの・・・・・・。」
「私は、キムラスカの王女ナタリアです。ピオニー陛下から依頼を受けて皆を救出にきました。」
対応に困るルークの前に立ち、ナタリアが口早にそう言う。
ルークはそれを黙って見ていることしかできない。
「ああ!グランツさんって人から話は聞いています!自分はパイロープです。そこの坑道で現場監督をしてます。村長が倒れてるんで自分が代理で雑務を請け負ってるんでさぁ。」
「グランツ謡将と救助隊は?」
「グランツさんなら坑道の奥でさぁ。あっちで倒れてる仲間を助けて下さってます。」
そこにアクゼリュスの人達を見回っていたガイとアニスが戻って来る。
「この辺はまだフーブラス川の障気よりマシって感じだな。」
「坑道の奥は酷いらしいよ。」
「辺りの様子を確認したら坑道へ行ってみましょう。ルーク!」
「あ・・・・・・、ああ・・・・・・うん・・・・・・。」
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