存在

□第八話
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灼熱の砂漠に足を踏み入れ、やっとのことでオアシスへと辿り着いた一行。
やっと休める、誰もがそう思った時だった。



『・・・・・・応えろ・・・・・・!』



ルークの頭に声が響いたのは。



『応えろ!』
「いてぇ・・・・・・なんだ・・・・・・!?」
「ルーク!」
「ルーク様!?」



突然、しゃがみ込んだルークを心配し、ナタリアもシェンラも声をあげる。



「また例の頭痛か?」
「例の頭痛?」



ガイの言葉にジェイドは疑問を覚える。



「誘拐されたときの後遺症なのか、たまに頭痛がして幻聴まで聞こえるらしいんだ。」
「ルーク様、大丈夫ですか?」



シェンラがルークの前にしゃがみ込み、様子を伺う。
しかし、ルークにはそんなことを気にかけていられる余裕はない。



『応えろ!グズ!』
「誰だ・・・・・・おまえは・・・・・・!」
『わかってるだろうよ、そっくりさん。』
「おまえ、アッシュか・・・・・・!」
「!」
『どこをほっつき歩いてんだアホが。イオンがどうなっても知らないぜ。』
「おまえ・・・・・・っ!一体どこに・・・・・・。」
『ザオ遺跡・・・・・・。おまえには来られないだろうな、グズのおぼっちゃん。』
「ルーク様!大丈夫ですか。」
「ご主人様、気分悪いですの?」
「しっかりして。」



アニス、ミュウ、ティアも心配そうにルークに声をかける。



「また幻聴か?」
「幻聴なのかな・・・・・・。」



幻聴とは思えない、とルークの顔が物語っている。
彼からしてみればあれだけはっきり聞こえて、しかも会話までしてしまったのだ。
幻聴と思えるわけがない。



「アッシュがどうとかって・・・・・・仰ってましたわよね。アッシュって、あの神託の盾の・・・・・・?」



アッシュ・・・・・・。
ルークと同じ顔をした神託の盾。



「・・・・・・さっきの声は確かにアッシュだった。イオンとザオ遺跡にいるって・・・・・・。」



いまだ頭を押さえたまま、ルークが立ち上がる。



「ザオ遺跡!?そこにイオン様が!?」
「ザオ遺跡・・・・・・。2000年前のあのザオ遺跡のことでしょうか。」
「それはどこにあるんだ?」
「さあ、残念ながら知りません。責任者の方が探して下さると助かりますが・・・・・・。」
「あ、あんたホントに意地が悪いよな。」
「いえいえ。悲しいくらい善良で真面目です。」



ジェイドはやれやれ、といった格好をとる。
ルークはそれをねつめる。



「大佐!ルークをからかうのはやめて下さい。」
「ザオ遺跡・・・・・・。」
「シェンラ、心当たりがありますの?」
「確か、ここから東へ向かったところにそんな遺跡があると聞いたことがあります。」
「じゃあ一度ここで態勢を整えてからそこへ向かいましょう。」



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