奉還師

□ACT1
2ページ/7ページ




「♪〜♪」



ハッピーエンドで気分もルンルン。
思わずスキップなんかしながら散歩に出かける。
え?目的なんて勿論在りませんよ?
第一話の晶の真似です。
丁度降りそうな、降らないようなそんな天気。



「あ、曲がり角。」



其処を曲がったら有利とムラケンが現れたり〜とか?(勝利アウトオブ眼中。)



「・・・・・・・・・。」



目の前には・・・。



「ってんな訳ないよねー。」



至って見慣れた何時もの道。



「なーに期待してんだか。」



これじゃあ私は痛い子ですよ。
現実と夢とちゃんと区別してるつもりなのに。



「んあ?」



ポツポツと当たる感触に思わず仰ぐ。



「こんなトコは同じじゃなくて良いってばー!!」



私は空に向かって叫ぶ。
あ、口の中に雨入ったかも。
多分夕立ちだろう私を濡らす雨。
私はその中をただがむしゃらに走った。
雨宿りした方が良いって?
んな事判ってるわよっ!?



「何でこう云う時に限って、雨宿りする場所がないのよー!」



民家に駆け込めってか!?あーん?
雨がおさまる頃には私の服はぐっしょり。
おまけに・・・・・・。



「此処何処ですかー?」



周りは全く知らない場所。



「うわー。この歳で迷子とかマジ有り得ないんですけどー!」



此処がどの辺なのか、自分が何処から来たのかすら判らない。



「ここはど〜こ〜だ?ここはこ〜こ〜あ。」



晶、今なら判るよ、あの時の貴方の空しい気持ち。



次→
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ