奉還師

□ACT9
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「そう云えばさ、晶に聞いてみたかったんだけど。」
「ん?何だ?」
「サクリアってさ、他にどんな事が出来るの?水と緑で治癒とか。風で飛んだり飛ばしたりとか。後はえっと・・・。」
「今までに使ったのは、闇で眠りを与えたり、作用として水が雨降らせたり、地が地震を起こしたり。まぁ、大半は言葉のままだ。」
「ふーん。でも炎や水なんかは判りやすいけど、夢や鋼は判り難いよね。」
「うーん、一応サクリアにはそれぞれ象徴となる言葉が在ってな。」



光は『誇り』『目覚め』、闇は『安らぎ』『眠り』、風は『勇気』『変化』。
水は『優しさ』『涼やぎ』、炎は『強さ』『熱さ』、緑は『豊かさ』『生命』。
鋼は『器用さ』『存在』、夢は『美しさ』『自由さ』、地は『知恵』『礎』。



「その象徴の言葉を用いて、サクリアの力を引き出す。まぁ、確かに鋼と夢は少し抽象的では在るかな。」
「へぇ〜。」
「何なら使ってみようか?夢。」
「え?」



晶は胸元からサクリアの水晶を取り出した。



「でも良いの?」
「平気、平気。もう俺の体力使わないからな。だから落ち着け。」



晶はちろっと後ろに視線やる。
その目はしっかりコンラッドを捉えていた。



「うっ・・・。」



読んでるなぁ、晶。



「夢のサクリアは占い的なものが出来るんだ。好きだろ?女の子は。」



確かに好きだけど・・・。
自分も女の子じゃん、と云う突っ込みは止めとこう。



「じゃあ丁度いいから、紗稀が俺達の世界に来れるか如何か占ってやるよ。」



ふっ、とそれまでの笑顔が一瞬にして消えた。
真剣な表情に真摯な瞳。



「果てしなく可能性が広がるその未来。限りなく自由で限りなく愛おしい。願わくば先の時は美しからんことを・・・。」



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