SPIRITS-BAR
□LUNATIC LION
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疲れ果てた夢の中で
辿り着けず溺れかけて
…不意に甘い囁き
それは慰めなのか?
何故振り向かず弄ぶ?
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−LUNATIC LION−
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―――検事局 資料室
「…それは何の真似だろうか。」
感情を込めず、矢鱈と無表情に冷たく応えてやる。
妙なゴーグルをした銀髪の男はクッ…と笑って、
「…哲学の無い愛は、冷めた珈琲を飲む様なモンだぜ……なァ、ボウヤ?」
等と言いながら、わざわざ対面の席に座り…ニヤリと笑いながら珈琲を煽る。
「…相変わらずの意味不明な自己語録か、神ノ木。」
「クッ…!四字熟語の帝王…嫌いじゃないぜ…」
その言葉に「謎掛け」とも「侮り」とも取れる物を感じて、御剣の眉間から皺が生まれてくる。
ゴドーは未だ愉快そうにニヤニヤと御剣を見ていた。
「そこで貴方は何をしているのかを尋ねたい。それと、よもや自身の仕事は終わったのだろうな?」
「あァ…仕事なんざ当の昔になァ…。今のオレの仕事は、アンタをこうして見ている事さ、ボウヤ…」
「…余り対面に居られても目障りなのだか。」
「クッ…!なら脇に居てやるぜ、オレのボウヤ」
「そういった意味合いではな……!」
突然ガタリと席を立ち、机の中心辺りに右手を着いて…ヒョイと机を飛び越したのだ。
御剣の脇に平然と腰掛けたゴドーは、やはりニヤリと見下げながら頬杖をつき、御剣の横顔を見ているだけ……。
「……一体貴方は何をしたいのだ、神ノ木 荘龍!」
流石に我慢出来なくなったのか、御剣は遂にキッ、とゴドーを睨み据える。
「聞こえなかったのかい?見てるだけさ、ボウヤをなァ…」
「私を見て何になるというのだ!それ程暇ならば仕事の一つも分け与えるが!!」
更に増えた眉間の皺を見てゴドーはクッ…と笑った。
「前髪、少し切ったのかい?」
「だから何だというのだ!」
「クッ…夜風が歎いちゃうぜ、ボウヤ?」
「神ノ木 荘龍!!」
もはや我慢の限界だ、と。そう言おうとした矢先…
「昔は喜んでくれたんだがなァ…」
と。再度ニヤリと笑った。
(…昔…だと…?)
それは恐らく…と。
少々伏せ目がちになる…。