COCKTAIL-BAR

□だけど言わない
1ページ/3ページ

宝物みたいな
キスとか言葉に
僕は燃えてしまう

悲しみに包まれても
それは形見の品の様に
心の奥まで入って
涙を取って行くから


〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
Turn3<だけど言わない>
―Hope in reality―
〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓

『これが大人の甘さ、だぜ…まるほどう』

…その言葉が、耳から離れない。
そして、あの…キスの感触が。
レッスンと言うだけあって…あんなキスは生まれて初めてだった。
そして、艶めく様な声を出した自分にも…何と無く…
「なっるほどくんっ!」
「うわああっ!!!」

まるでお約束のように声を掛けられ、成歩堂もまた、お約束の如くのけ反る。

「今度はどうしたの?」
「今度は、って…。それじゃ何か毎度僕がどうかしてるみたいだぞ…」
(…確かにどうかしてるんだけどさ…)

チッチッチ…と。人差し指を立て、左右に振りながらマヨイは更にツッコミを入れてくる。

「今回は都会の信号機みたいになってるよ、なるほどくん」
「え…何、その例え…」
「目まぐるしく三色に切り替わってる!だよ〜」

ニコニコと、でもキッパリそう言われると…もはや反論の余地は無かった。

(うう…マヨイちゃんまで言葉遣いに捻りが出てきたぞ…)

嫌な汗をかきながら、成歩堂はマヨイに、「すみませんでした」と何故か謝る……。

「カワリダマ、でも良かったな〜!や〜あたしの例えも、中々どうして上手くなったよねぇ〜!」
「ええ、さすがマヨイさまですわ!!」
「…何が流石なんだよ…」

マヨイと春美のコンビが相手では、ピンな成歩堂が敵う訳がない。
二人はキャッキャと、成歩堂をからかうだけからかって…

「お!もう5時だよ!はみちゃん、そろそろ帰ろっか?」
「はいっ!今日もお勤めご苦労様でした、マヨイさま!!さぁ、なるほどくんも、お言葉を!」
「……今日もご苦労様…でした…」
(っていうか…テレビと昼寝とオヤツ食べに来ただけじゃないか……)

矢鱈と長いツッコミを入れながら、二人を見送ると…
(カワリダマ……)

その言葉にまた、思考が引き戻されてしまった事に…また独り羞恥した。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ