SHOTBAR

□Cherry blossom
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あれは
潔く散る花だというが

これは
美徳の花だというが

それが黄金色になると
途端にどす黒くなる事を
アンタ、知ってたかい?


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【Cherryblossom】
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―――会議終了 PM 5:45

「じゃ、一足早く行くッス!お待ちしてるッス、ゴドー検事!」
「あァ、浴びる程呑むといいぜ、ヒゲ…」
「了解ッス!じゃ、失礼するッス!」
会議は滞りなく終了し、特犯の刑事達は厳徒局長が設けた花見の宴に足を運ぶ。
ゴドーは誰もいなくなった会議室の窓辺に佇み、色合いの解らぬ景色をボンヤリと眺めていた。

(あのジジイ…何企んでやがる…)

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「局長室に来てよ」
執務室に厳徒から内線が入ったのは昼近くの事だった。
午後からの会議資料に目を通していたゴドーは、軽く舌打ちをして局長室へと赴く。

「邪魔するぜ、ジイさん」
「やあやあ神ノ木ちゃん!マァ、そこ座ってよ。」
厳徒がソファーを指差す。
「クッ…ジイさんの昔話に付き合う程、オレは暇じゃねェんだがなァ…」
「そう?ボクは結構愉しいんだけどな、神ノ木ちゃんとナレアイするの!」
厳徒は指を組みながら、笑顔のまま応える。
(…腐れジジイが…)

「オレは暇潰しに来た訳じゃねぇ…アンタは早く用件を言うのが先だろうぜ」
「ああ!ほら、桜、綺麗だよねぇ!」
厳徒の背後の窓越に、満開の桜。
「ボクね桜、好きなんだよね。今満開だからさ、花見の宴、やろうと思ってさ!今夜!会議に来た特犯の刑事くん達も呼んでさ!」

厳徒海慈という男が、快楽主義者だとは解っていた。その快楽を得る為ならば、その権力をも行使する男。
(くだらねぇ……)

「そりゃア結構なこった…桜背負った奴らが、桜眺めて宴とはなァ…せいぜい本物の美徳ってモンを再確認すればいいだろうぜ…」
「ハハハ、言うねぇ神ノ木ちゃん。…でね、君にして貰いたいのは、会議を早目に切り上げるって事だよ。随分と苦戦したみたいだからさ、御剣くん。」
「クッ…そりゃあ正しくボウヤだからさ…。まぁ、いいだろうぜ…上手く切り上げる、それだけなら…な」
厳徒の、その目の奥底にある怪光。マスク越しにでも突き刺さる様なその、陰鬱としたモノ。
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