DINING-BAR
□ZOO −ニャルとライオン−
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大きくなったら
僕にも生えるかな
あの銀色のタテガミ…
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《ZOO》
―ニャルの冒険―
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「レイジくん!遊ぼ!」
「ム…普通は私となんかより同じ猫同士で遊ぶものなのだぞ…」
小屋の入口から頭を覗かせるニャルに、やれやれといった様子で起き上がる。
この近所に最近貰われて来たらしい黒と茶色の子猫。クリクリと瞳はブルーで、どうやら雑種らしい。
一方、自分はイングリッシュセッターという猟犬の純血種。飼主の狩魔に仔犬の頃より仕込まれた一人前の猟犬である。
一週間程前に出会ったばかりの子猫…ニャルは矢鱈と自分に纏わり付いていた。
「私は犬、なのだよ。君は猫なのだ…種族が違うイキモノなのだから…」
「お説教はいや!早く遊ぼうよ、レイジ!!」
自分の足元に絡み付くニャルに根負けして、フサフサした毛並みの尾を水平に降る。
ニャルは丸い瞳を輝かせながら、レイジの尾にじゃれ付いた。
「…君の主人は遊んでくれぬのか?」
やや暫くして、尾に飽きたらしいニャルにレイジは尋ねてみた。
ニャルは自分の水入れの飲み口からペロペロと水を拭っては喉を潤している。
「一緒に居れる時は遊んでくれるけど…殆どいないよ…」
「ふム…そういえば…君の主人は動物園に勤める女性だったな…」
「どうぶつえん??」
水を飲み終えたニャルが、伏せるレイジの首輪の辺りまで近寄った。
「そこ、どんなとこ?」
「主人と散歩の際のコースなのだが…中までは見た事がない。世界中の動物が集まる場所らしい。」
「ふうん……。ね、そこに行ってみたいな、僕!」
ギュウギュウと前足でレイジのスラリとした鼻を押しながら、その瞳はクリクリと興味深々に動いて。
「私ですら入れぬのだ。諦めた方がいい…。」
「えーっ…いやだ!絶対行きたい!!行きたいっ!」
これだから子猫は苦手なのだと…肉球を押し当てながら駄々をこねるニャルに、レイジは一言、こう言い放つ。
「もっと大きくなったらな…考えておこう」
ブウと一声鳴きながらニャルはレイジの身体を乗り越えて叢へと姿を消した。