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□逢いたい気持ち
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エドガーは毎日リディアに逢いたい気持ちで仕事に出掛けるが、今日はいつも以上に彼女に逢いたかった。
アシェンバート邸の門を潜り、広がる庭園を早足で歩く。
「リディア、僕のこと待っててくれているかな?」
帰り道、そのことしか考えられないくらい、エドガーはリディアを愛していた。
玄関の呼び鈴を鳴らし、出迎えに現れたトムキンスに、エドガーは尋ねる。
「トムキンス、リディアはどこにいるのかな?」
「はい、リディアさんならご自分の仕事場でおられますよ」
ありがとうトムキンスと話し、エドガーはリディアの元へ足を向かわせた。






「リディア、入るよ」
コンコンっとノックをし、リディアの返事を待つエドガーであったが、何度呼びかけても室内からは応答がなかった。
「……リディア?」
おかしいなぁと思いつつ、エドガーはドアを開いて室内へと入る。
シーンと静まり返る中で、この部屋の主であるリディアの居場所を探したところ、彼女は机の上でうつ伏せになり、うたた寝をしていた。
「リディア……」
最近妖精博士の仕事が忙しいとリディアが言っていたことを思い出す。



《依頼が増えて、妖精博士の仕事ができて嬉しいわ。でも、あたしの身体は一つしかないから、なかなか依頼をこなせなくて……》



そう言いながらも、自分の決めた仕事に遣り甲斐を持って取り組んでいる妻の姿を、エドガーは素晴らしいと思った。
疲れて眠るリディアの背に毛布をかけながら、エドガーはリディアのつむじに軽くキスを落とす。
「頑張る君も僕は大好きだよ。でもね――」
リディアの耳元で囁くように告げ、エドガーはリディアの部屋を後にした。




=真っ赤になって僕の名前を呼ぶ君は、もっともっと愛してるから。
だから、無理はしないでね……リディア=








「……エドガーってば……」

エドガーの去った後、甘い囁きで目覚めてしまったリディアは囁き通り、赤面してしまうのであった。















〜END〜
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