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□林檎が甘い理由
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「ねぇエドガー、アップルパイ作ってみたの!!」
ティータイムの時間に、妻リディアは嬉しそうにアップルパイの載ったお皿をエドガーの前に差し出した。
「アップルパイ?」
「ええ」
リディアの手からお皿を受け取ったエドガーは、食べやすい大きさにカットされたアップルパイの一片を手に取り、パクリと口に入れた。
「……どう?」
エドガーがパイを食べ終わるまでリディアは心配そうに見守っている。
一片のアップルパイを食べ終えたエドガーは、リディアの待っていた感想を述べた。
「うん、美味しいよ。リディアの想いがたくさん入って」
「エドガーってば!」
感想と共にリディアへの口説き台詞は忘れないエドガーに、リディアはうっすら頬を赤らめた。
そんな可愛い妻の姿を微笑ましく眺めつつ、エドガーはゆっくりと席を立つ。
「……エドガー?」
コツコツと書斎の窓際まで歩き、外の景色を眺めながらエドガーは振り返る。
「ねぇリディア」
「なに、エドガー?」
「林檎ってさ、なんで甘いのか知ってる?」

「はっ?いきなり何言い出すの?」
エドガーの質問があまりにも唐突だった為、リディアは小首をかしげて聞き返す。
するとエドガーは笑みを浮かべながらリディアの方へ向かって歩き出した。
「林檎はね、農家の人々が愛情を込めて作るから甘い果物になるんだよ」
「へぇ……」
「だからね、リディアも僕の愛情を注いでいるからとっても甘いと思うんだ」
「ふ〜ん……あたしに愛情を注いで……って!!」
エドガーの話しに耳を傾けていたリディアは、思わず頷きそうになった。
「あっ、あたしが甘いってどういう意味よ!!」
「甘い林檎と同じで愛情を注けば甘くなる。リディアは僕の愛情を一身に受けてさぞ甘くて美味しいんだろうね」
「な…ななな、なに言ってんのよ!!」
しどろもどろになりながらリディアは一歩ずつ後ずさる。
その距離を埋めるようにエドガーは間合いを積める。
「ねぇリディア、ほんとに甘いかどうか確かめようか?」
「なっ、どうやって……」
「もちろん、こうやって口づけするのさ!」
「……んっ!!」
後ずさりするリディアの腕を引き、エドガーはリディアの唇にキスを落とす。






うん!!やっぱり林檎よりも甘かったよ。リディアの味は!



口づけの後、満足そうにお皿に残ったアップルパイを食べ始めるエドガーの背に、リディアは一発殴ってやろうかしらと拳を握りしめるのであった。













林檎の甘さは、愛情。

だからリディア、これからも僕の愛情を注いで甘くするね!!















〜END〜
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