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□彼のいない夜
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シオン、キャロル、ティルの三人が眠りについた後リディアは机に向かい、日記を書き始めた。
《3月8日――》
日にちを書き、なんとなく以前の日記を読み返してみる。
眠れなかったり風邪を引いたりと、いいことが書かれていない。
「はぁ……。楽しいこと、全然書いていないわ」
パタンと日記帳を閉じたリディアは我が子たちの様子を見に寝室へと向かった。
音を立てないように忍び足で部屋に入り三人の寝顔をみると、気持ち良さそうに眠りについている。
「シオンもキャロルもティルも良く眠っているわね。良かったわ」
我が子の眠りを確認し、ほっとしたリディアであったが、同時に寂しく思ってしまう。
子どもたちが眠る前はあっと言う間に時間が過ぎて行ってしまったのに、一人になると心細くなってしまう。
傍にいて欲しいエドガーは、今日はお仕事で遅くなると言っていた。
「……エドガー、あたし寂しい。早く帰って来て……」
月明かりに照らされた窓辺に立ち寄り、リディアはそっと夜空を眺めるのだった。

















END









2012 3 9
水樹憂菜
 

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