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□彼の望むままに
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夕方、リディアはエドガーと共に夜会へ向かおうとお出かけ用ドレスに身を通していた。
「ケリー、ありがとう」
「奥さま、とっても綺麗ですわ」
侍女のケリーが髪を結い上げてくれる中、リディアは鏡に映る自分とケリーの姿を眺めていた。
するとドレッシングルームのドアが開きエドガーが入ってきたのだ。
「リディア、準備はできたかい?」
「旦那さま、奥さまはまだ……」
ケリーが声でエドガーの侵入を拒もうとしたが、それよりも早くリディアの元へ来てしまう。
そして、リディアのドレス姿を見て僅かに眉をひそめた。
「エドガー?」
「リディア、そのワインレッドのドレスは良くない。変えよう」
「え……どうしてよ?」
「だってそのドレス、胸元が開きすぎだよ」
エドガーが座るリディアの胸元に手を滑り込ませた。
「なっ、なにするの!!」
「旦那さま!!」
「こうやって僕だけが堪能できるなら良いけれど、夜会に行って他の男の目に触れるのは許せないからね」
そう言うと、エドガーはケリーに新しいドレスを持ってくるよう指示し、その場はリディアと二人だけになった。
「リディア、大胆なドレスを着るのは僕の前だけだよ」
「あなたの前だけって、どうしてよ?」
「妬けるから」
「旦那さま、ドレスをお持ちしました」
エドガーの指示通りドレスを持ってきたケリーの目に映ったのは、夫婦の甘い世界だった。
「……すみません」
「あっ、ケリー行かないで!!」
出で行こうとするケリーを引き留め、リディアはエドガーに目線で訴えた。





エドガーってば!!そんなに嫉妬しないで!!

















……END。




















2012 3 11
水樹憂菜
 

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