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□彼女の日記 番外編
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帰宅したエドガーは、いつもなら真っ先に出迎えてくれる妻が玄関ホールに現れず、彼女の侍女ケリーが出迎えたことに疑問を抱く。
「ケリー、ただいま。ところでリディアはどうしてお迎えに出てくれないのかな?」
「旦那さま。あの…えっと……」
侍女の反応が何か良くないことのように感じ、エドガーは僅かに眉を潜めた。
「ケリー、正直に話してほしい」
「は、はい。ですからその、奥さまのご様子が……」
「リディアの様子がおかしいって?」
「はい。ここ二、三日から特に。何かを思っているような目で窓の外を眺めたり、日記を書いたり……。ってあれ?旦那さま?」
ケリーが顔を上げたときにはもう彼の姿はなかった。
恐らく妻の部屋へと向かったのだろう。ケリーは小さなため息を吐くと、
「旦那さま、奥さまを大切にしてください」
まるで独り言のように呟き、自分の仕事へと戻って行った。










おしまい。
 

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