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□お互いを無くしては生きていけない僕ら
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「いゃあぁぁ!!」
明朝のアシェンバート邸に響くリディアの声。エドガーはベッドから跳ね起きると冷や汗をかきながら身を震わせ怯えている妻の身体を抱き寄せた。
「リディア、リディア大丈夫?怖い夢を見たのかい?」
「……ええ」
エドガーの腕の中でリディアは小さく頷き、乱れた呼吸を徐々に落ち着かせていった。
暫くしてエドガーに もう大丈夫よ と告げ、彼から離れようとする。しかしエドガーは包み込んだ身体を離そうとはしてくれなかった。
「エドガー?」
エドガーは心配そうに覗き込むリディアの顔を自分の胸に押し付け、表情を悟られないようにする。
「リディア、僕が傍にいるから、絶対に守る。絶対に」
それはまるで彼自身、己に言い聞かせるような台詞であった。
「……エドガー、あたしを絶対離さないで。お願い」
リディアもまた、エドガーの思いに必死に答えようと彼の広い背に目一杯手を伸ばした。

お互いの存在を無くしては生きていけない。

自然とふれ合った口づけが長くなるにつれ、熱い体温(ぬくもり)が互いの想いを満たしてゆくのだった――――。








おしまい
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