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□エレンの日記
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ある日の夕方、夫妻の愛娘であるエレンは一冊の日記帳を持ちながらはしゃいでいた。


リディア「エレン、日記をつけているの?」


エレン「うん!ケリーお姉ちゃんが日記帳、買ってきてくれたの!!」



二つくくりにした髪を揺らし笑う娘の言葉にリディアは何か引っかかった。


それは侍女ケリーの名前。


リディア「ケリーが……」


彼女がエレンと関わるときはいつも‘あのパターン’だとリディアは瞬時に思い出す。



リディア「ねえ、エレン。少しだけ、日記を読んでもいい?」



エレン「え……。中身は見ちゃだめぇ!」


リディア「お願い、そこをなんとか……ね!」


ダメだと言うエレンを必死に説得し、リディアは日記帳を開くことを許された。



エレン「すこぉーしだけだよっ」


リディア「ええ。わかっているわ。約束したものね」


母親に念を押して話すエレンにそう告げると、リディアはペラリと日記の頁を捲る。




リディア「○月□日 はれ。 きょうはお父さまとお母さまが仲良く手をつないでお出かけしたよ!どこに出かけたのかエレンにはわからないけど、おみやげに、くまのぬいぐるみを買ってきてくれたの!

かわいいかわいいぬいぐるみ♪♪

エレンのたからもの!」

リディア「△月◇日 あめ。今日はお母さまがお父さまの部屋に入ってラヴラヴしてたみたい。お母さま、幸せそうな顔してお父さまの部屋から出てきたから……。
いつもはお父さまがお母さまの部屋に行くのに、今日は逆だったなぁ。

あっ!明日も行くのかな?お母さま?」



………


娘の日記を読んで暫し沈黙……


エレン「お母さま?」


黙り込んでしまった母親に、エレンは大丈夫?と話しかける。



リディアは無言のまま、ペラペラと頁を捲っていく。そして、


リディア「エレン、日記帳ありがとう。返しておくわね」


そう言い、エレンに日記帳を返すと部屋を出て行ってしまう。


エレン「お母さまぁ?」


エレンは首をかしげて母親の姿を見送るのだった。










部屋を出たあと、リディアが真っ先に向かったのはケリーのいる侍女専用部屋。


リディア「ケリー!!エレンの日記に何を書かせているの!あれじゃあエレンの日記じゃなくて あたしたち夫婦の行動日記じゃない!!」



エレンの日記……その中身は両親がいつ、どんな風にラブラブしているのかを書き留めた、夫妻の実態日記たるものだった。



ケリー「エレンさま、見せてしまったのですね。仕方ありません、また別の方法でご両親の行動を記しましょうね」



奥方の注意をものともせず侍女ケリーは新たな作戦を夫妻の愛娘、エレンと共に練るのだった。









END。
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