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□寂しがり屋は母親似?
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これはシオンとキャロルが生まれて半年経った頃のお話しである。






新しい家族として、双子のシオンとキャロルがこの世に誕生して早半年。ようやくお仕事に復帰し出したリディアであったが、もちろん双子たちの子育ても怠らなかった。
お仕事をする際は妖精博士用の部屋に連れて入り、双子たちが眠りについている間にこなすのだ。
これがいかに大変かをリディアは身に染みて理解していた。
それでも止めようとしなかったのは、我が子が本当に愛しくて、愛する人との間に産まれた大切な存在だったからだ。
「シオン、キャロル、今日もいい子にしててね。お母さまは今からお仕事するからね」
リディアは柔らかい素材で出来たカーペットを敷き詰めた床に双子たちを置いてあげ、その頭を優しく撫でた。
「あぅ、あぅぅ」
双子の片割れであるキャロルはそんな母親の手を掴みたいのか、必死に手足を動かしている。だか、上手くバランスがとれないためすぐにへたりこんでしまう。
隣でキャロルの様子をみていたシオンも真似して手を伸ばすが、結局同じ結末を向かえるのだった。
すると母親に手が届かなかったのが不満だったのか、キャロルはうるうると瞳をうるませ始める。
「あらら、キャロル……もしかして……」
もしかするとの予想通り、キャロルは赤ん坊独特の鳴き声で部屋中を響かせた。
「キャロル!!泣かないで、お母さまはほら、ここにいるからね!」
「あっ、えぅああ!!」
大声で泣くキャロルを抱き上げ、あやしていると、こりゃまたタイミング良く夫のエドガーが現れた。
「リディア、キャロルが激しく泣いているけれど……一体何があったのかな?」
「エドガー、あのね……実は……」
リディアは抱き上げたことによって落ち着いてきた娘の頭を撫でながら、キャロルが泣いている理由を話した。
エドガーはリディアから話しを聞くと、キャロルの柔らかいほっぺに指先で触れた。
泣き止んだキャロルはくすぐったいのか、エドガーの指をどけようと小さな手のひらで払おうとする。
エドガーはそんな娘の姿に笑みを浮かべた。
「我が家のお姫様は、寂しがり屋さんだ。きっとリディアに似たんだね」
「なっ、どうしてよ!」
ついムキになって言い返してしまうリディアに、エドガーは片目を瞑って答えた。
「こうやって寂しがる性格。これはリディアが僕に向ける姿そのものだから」
「え……」
問おうとしたリディアは、エドガーの微笑みの奥に隠された意味を理解した。
「エ、エドガー!!」
赤面しながらエドガーの背を追いかけようするリディアに、再びキャロルがぐずり出す。
「あ……キャロル、ちょっと……」
待ったなしにキャロルは泣き出してしまう。

そんな娘とリディアを交互に見比べ、エドガーは満足そうにして去って行く。
一方シオンはというと……


目の前の光景を見ているのに疲れたのか、うとうとと眠りについているのでした。










END
2012 1 29
管理人 水樹憂菜
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