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□新しい生命の誕生
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リディアが二人目を出産したとのことで、カールトン教授は緩む頬をなんとか引き締めながら伯爵邸へと足を運ぶ。
出迎えに出た伯爵家の使用人が、《それはそれは可愛らしいお子様で、まるで天使のようです》と嬉しそうに話しながら教授を奥様であるリディアの部屋へと案内してくれた。
「リディアに似て可愛いらしい女の子かな?それとも……」
メイドたちの話しに胸を膨らませ、コンコンっとドアをノックする。
しばらくして中からリディアの声がし、カールトン教授はドアを開いた。
室内にはエドガー、そして二人の愛息子ティルが今しがた出産を終えたリディアのベッド周囲に集まっていた。
「リディア、おめでとう」
「父さま!!来てくれたのね!嬉しい!!」
父親の訪問を心から歓迎し、リディアはおくるみに包まれた我が子を父親に見えるように差し出した。
「父さま、女の子……だったの」
リディアのこれ以上にない幸せな表情(かお)を前にし、カールトン教授も思わず鼻の下が伸びてしまう。
「そ、そうか、女の子だったか。良かったな、リディ……」
カールトン教授がリディアと、孫娘の顔をしっかり拝見しようとしたとき、もう一つの泣き声が耳に届いた。
「ああ、泣かないで。でも、やっぱり我が子は可愛いな」
カールトン教授は咄嗟に声のした方へ体を向ける。
そして振り向いた先には、おくるみに包まれエドガーに抱かれている赤子の姿。
「伯爵……リディア、子どもは……」
カールトン教授が情況を知りたがっているところで、リディアははっきりとこう言ったのだった。
「父さま、赤ちゃん、双子だったの」
「ふ、双子!!」
しかも男女だったのよ!!と言うリディアの声はカールトン教授には届いていなかった。
「―――さま、父さまってば!!」
まさかリディアが双子を出産すると思っていなかったカールトン教授は、暫くその場に立ち尽くしていた。


おくるみに包まれた赤子の泣き声だけが、静まり返った寝室に響くのであった。




さてさて、夫妻の子育て奮闘記が、今再び始まる!!!!!












おしまい
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