管理人の創造世界

□記憶
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僕の横にいる君はいつも笑ってた


その表情を必ず覚えていて

いつでも目を瞑れば笑顔が浮かぶ



それが当たり前みたいなのに







「君は誰?」



僕が吐いたその言葉が ナイフのように鋭いというのなら


僕のナイフが突き刺さった君の表情は 「悲しさ」では言い表せられないほど切ないだろう





ねえ 君は誰



どんな声をしていて

どんな顔で笑うの





おかしいな


僕は君を知らない




けれど君は僕を
酷く懐かしそうな目をして








そんな目で見ないで、




だって僕は君を知らない



なのに その目は、その顔は、

僕を苦しめる





そんな悪い存在のはずなのに



君を見ていたら涙が零れた






「僕を苦しめる君は嫌いだ」



嫌いなはずの君の懐かしい笑顔



決して嫌いじゃない感情





君が僕に思い出してほしいって



何も言わずただ目で訴えるんだ







知らない存在の大好きな笑顔



ひたすら頭の中で引き出しを開けている僕



必死に何かを探そうとして





ただ ただ 君に手を伸ばしている
「僕の好きな存在ってなんだろう」




目の前にいるのかな、


僕を呼んでいるかな、




僕を見て涙を流しているのかな







届かない なんて


そんなことがないように



あってほしくないから手を伸ばす






もう少しで正しい引き出しを開けれるような


奥で詰まっているような感覚を



震える手で打ち消していた








君が誰か知っているだろう


君の笑顔だって知っているだろう





君が僕に求める「僕」を


もう少しで思い出せるような そんな気がするんだ






たくさんの引き出しの中で



最後に開いたその引き出しから



出てきたものは






「僕の大好きな」君の記憶。

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