2013年フリリク

□地獄と雖も
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「はい、君は地獄ー。はい、君で最後ね。君は…うわ、随分酷いことしたんだねぇ、地獄。」









地獄と雖も






地獄。

暗く太陽などない世界。

叫び声や呻き声、倒れる者を蹴り飛ばし立たせる鬼の叱る声と泣き声…


「はぁ。」


一通り仕事を終えると、閻魔は溜息を吐いた。



「これで第三団体は振り分け終了ですね。本日はあと二団体いますので、気を抜かないで下さい…よっ!」

「ぃっっだぁっ!!!


鬼男が閻魔の背中を叩きながら言った。


「いっってぇ〜!もぉ!鬼男君の馬鹿!ハゲ!」


「ハゲてねぇわ!!ほら、シャキッとして下さい!次の団体が来ましたよ!」


「え、もう来たの?!ちょっと〜俺全然休んでないんだけど〜…」



団体を連れて来た案内係の鬼が、一覧表を閻魔に渡した。

「閻魔様、連れて参りました。此方がこの者たちの表でございます。」


「はいはい、どーも。って、この団体連れて来るの早くない?さっき振り分け終わったばかりなんだけど。」


「と申されましても…」


「大王の振り分けが遅かったんですよね。君達は時間通りに動いた。そうでしょう?」


鬼男がじろりと閻魔を睨みつけて言った。


「なんで睨むのっ!…確かにさっきの団体は興味深い経歴持ってる奴ばっかで話はずんじゃったからなぁ…」


「てなわけで、振り分けするので君は戻っていいよ。ごめんね大王が遅くて。」


「い、いえ、とんでもないです、ではこれで。」


鬼は礼をして、戻って行った。





「さて、始めましょうか大王。」


「はいはい…」


コホンと一つ咳払いをして、表に目を通しながら振り分けをしていった。








「あー終わった!!!あと一団体で今日も終わりっ!!」


閻魔は大きく伸びをして言った。


「あんた、早く終わらせたいからって適当にやってないでしょうね。」


「んなわけないでしょ!俺はやればできる子なの!」


「だったらいつもこんくらいの早さでやれんだろーが!!!」



「いだぁっ!!!刺さってる!顔刺さってる鬼男君!!!」



「ったく…」


鬼男は閻魔の机に目を向けた。


「…下界の者たちは正月だっていうのに。」



溜め息を吐いて、ボソリと呟いた。
1月1日。正月真っ只中である。正月であろうが人が死なぬ日などない為、閻魔と鬼男に正月などという行事は存在しない。



「ん?…珍しくぼやくじゃん鬼男君。」


「別に…」




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