金色のガッシュ

□コールマイネーム
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最近、くすぐったい。
ガッシュに名前を呼ばれるのがくすぐったい。

「清麿」

バカみたいに間延びしていたり、少し拗ねたような声色だったり。上機嫌な様子が滲み出ていたり、半泣きだったり。

いろんな場面で何かと呼ばれてきたが、最近ガッシュは変わった様子で俺の名を発音する。

「清麿」

ひどく真剣に、低い声で呼ばれるのは戦闘中で慣れっこだったが、それとは微妙に異なった雰囲気を纏っているように感じる。
何かを決意したように、揺るぎない意志の中に見え隠れする優しさと、甘さが伝わってくる。

まるで、俺がなにより大切だと言わんばかりの、熱い呼び掛け。

(変な奴…)

だから俺は、たかが名を呼ばれるだけで口説かれているような、妙な気分になってしまうのだ。
全く、バカげてる。



夕方、ついうとうとしてベッドで眠ってしまった。
耳に届いたのはガッシュの声で、ガッシュは相変わらず「ごはんなのだ清麿!起きるのだー」と無邪気に俺を揺する。

小さな手が緩やかに背を撫でるのが心地よくて、いまいち覚醒しようと思えない。
二度寝してしまおうと寝返りをうとうとすると、またガッシュはあの声で俺を呼ぶ。

囁くような、感情を詰め込んでそれを抑え込んでいるような熱っぽさを孕んでいる声。

「清麿」

「…清麿、おきないのか」

たまらなくなって体を起こすと、すぐ傍らでベッドに頬杖をつくガッシュが目に入った。

「あ…、と」
「清麿」
「なんだ、よ」
「耳、赤いのう」
「う、……」

耳にそっと触れられる。
呼吸を詰めた俺に、ガッシュは目を細めた。

「のう清麿」
「…なんだよ」
「お主は私が好きか?」

「嫌いだと…思うのかよ」


絆される。
息が苦しい。


「なら、よいのだ!」


にっこりと、笑ったガッシュはいつも通りで。
下でお袋を手伝うといってに先に降りていった後、ひとり部屋に取り残された俺は毛布を被って丸くなった。

「どうすりゃいいんだよ…っ」


ガッシュはどんなときでも俺の名前を呼ぶ。

もう気付いたよ。
本当に、心臓にわりぃ。



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