Drrr!!

□猫の手も借りたい
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俺は今日池袋に来ている。

いつもならばあの金髪バーテン服の化け物に追いかけ回されるが、今日は違った。
黒い影が付きまとってくるのだ。これがマジでしつこい。
撒いてやろうと脇道路地裏に入っても、するすると付いてくる。

しかもそれが…

「…なんで、猫?」

なぜか、赤い首輪をした黒猫なのだ。





俺の知り合いが、今の俺の状態を見たら写メるか笑うか逃げるだろう。
あの折原臨也が路地裏で猫を追いかけ回しているのだ。自分でも薄気味悪い。

ずっと付いて来たくせにこちらが近づくと逃げていく猫を捕まえようと、悪戦苦闘して早20分。
追い詰めた先での物凄い抵抗のせいで、俺の両手は血だらけだ。

「てゆーかキミ、さっきからなんなの?」

やっとのことで捕獲して、抱き上げてみる。
ぐにゃーん、だらーんと憎たらしげに揺れる下半身と、絶えず俺の手を叩いてくる尻尾に軽く殺意を覚えた。
目つきも悪い。なかなかに凶悪で、一筋縄ではいかなそうなギラリとしたつり目だ。

「うっわー超ブサ猫。性格悪そーだなーお前」

そう呟くと、まるで意味が通じているようにシャーッと牙を剥かれた。まあまあ賢い。

「お前飼い猫だろ」

シャーッ!

「ああもう、わかったから。金輪際俺に近付かないで」

自分で自分がバカらしくなったので、目線まで持ち上げていた猫を宙でパッと離す。
無様に落ちればいいのに、猫は美しい仕草で地面に無事着地した。

「じゃあねブサ猫」

踵を返して大通りへ向かう。
しかしその瞬間だ。

「…っ!?」

ふわりと舞ったコートの裾に、重量感を感じる。鋭い爪で体全体を支えるものだから、布が裂ける嫌な音まで聞こえた。
慌てて振り向くと、案の定さっきのブサ猫がコートにぶら下がっていた。

しかもその口元には、白い毛が…。いや、俺のコートのファーの一部が加えられている。

得意げにファーを食いちぎった猫と、一瞬目が合ってしまった。

「……………」

しばしの睨み合いの後、ブサ猫はその黒い毛並みを闇に溶け込ませて、どこかに消えてしまう。

「…ひとり猫鍋パーティーでも開こうかな」




情報屋と
…冗談だよ



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