メジャー短編1
□ある朝のこと
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「ふぁー・・おはよ」
「ああ、おはよう」
眉村健の朝は早い。
目を覚ますとソファーに座った後姿が見えた。
私が座ったら頭一つしか出ない背もたれも、眉村は肩から大分飛びだしている。
(ちょっと小さかったかな。だから大きいのにしようって言ったのに・・・)
「まだ寝ててもいいんだぞ」
「ううん、健が起きてるのに寝てられないよ」
うむ、なんて言いながら新聞を読む背中が照れている。
「あれ?新聞逆さまだよ?」
「え?あ、う・・」
コーヒーを淹れながら前に回る私から、隠すように慌てて元に戻した。
「最近は逆さまに読むのが流行っているそうだ・・・というのは苦しいか?」
切れ長の目で上目遣いに聞いてくる。
「んー・・苦しいなー、残念!で、なんで逆さまなの?教えてよ」
「・・・////っ」
「ねーっ、教えてって」
眉村の隣にどかっと座り新聞をどかすと顔をぐっと近づけて覗き込む。
「・・・んだ」
「え?なんて?うわっ!」
ぎゅっと眉村の腕の中に閉じ込められる。
「お前の・・・寝顔を見ていたんだ。目を覚ましそうだったから急いで新聞を・・・」
「えーーっ!恥ずかしいよ、起こしてよねー」
「だってお前・・・可愛かったから///」
(すごい。私より照れてる!?でも顔見えない・・)
折角貴重なテレ顔を見るチャンスだったのに、自分の肩に乗せられているため見えない。
「健、顔見せてよ」
「・・・嫌だ」
「見せてくれないと今日の試合、応援に行かないぞ?」
「・・・それは困るι」
健がゆっくりと私から離れて顔を見せた、と思ったら・・・
「コラ、俯かないのっ」
人一倍照れ屋な彼は耳まで真っ赤。
でも頑張って顔を上げて私を見てくれた。
「お前が、応援に来てくれたらいつもより頑張れるし・・・勝てるから、な」
「よし!今日は思いっきり応援しちゃるっ」
ガバっと抱きつくと二人ともソファーに倒れこんだ。
「ああ、頼りにしてるぜ」