メジャー短編1
□君が泣いた
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「お前、あのドラマの続き、覚えてるか?」
「?」
「あの主人公は、自分の余命を知って自分だけじゃなく、大切な人にも後悔を残させないように出来る限りのことをするんだ。
残された方は辛いことには変わりねーけど少し心が軽くなる分それを想い出に変えていく力にできるってー話。
俺もきっと俺も同じことをするだろうな。
自己満足が大きいかもしんねーけど、大切な人には悲しんで欲しくねーし自分のことをいい想い出としてて欲しいもんなー」
吾郎君はとても優しい目をしているのに僕には横顔しか見せず窓の外を見ている。
「僕もきっと・・・同じことをする。大切な人には前を向いていて欲しいから。
正直、忘れて欲しいなんて思えるほど僕は強くないけどいい想い出として残っていたい」
「けど大切な人が死んで自分が泣くのとはまた別だろ?」
急に吾郎君の声が一音低くなる。
どこかピリッとしたものを感じた。
「どういうこと?」
「泣くかという質問に対してはそりゃ『泣く』に決まってんだろーが。でもそれ以上の話なら聞くな。大切な奴がどうするかは自分がどうするかにかかってくるんだからな。せーぜー俺が苦しまないようにしてくれよ」
そういうとポンっと僕の頭に手を置く。
でもやっぱり顔は見せてくれない。
「吾郎君?」
僕が彼の顔を覗き込もうとすると、
「バ、バカ、見るなってι」
目尻にきらっと光るもが見えた。
「あ!」
「う、うるへーっ///っ」