Red Roze
□ある日のこと
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ある日のことだった。
「う…」
気持ち悪い。
体重い。
頭痛い。
朝から最悪だ。どうやら、久しぶりに風邪をひいてしまったらしい。困った。本格的に困ってしまった。超最低。
なんで風邪なんか。
僕が今、ぼんやりしているこの部屋の空気もあまり良くなくて、
というかむしろ悪くて、
気分的にも良くないから、
外の空気でも吸いに行こう。と、重い体を引きずって頑張って屋上まで上がった。
ちょっと冷たい風が吹いていて、あまり体には良くなさそうだ。
けど、気持ちいいし。
少しだけ風に吹かれていようとしたその時、
ぐらっ、ときて、ふらっとした。
「………あっ………」
ああ、やばい。頭打っちゃう。ゴンッ!て…
………ならなかった。
抱きかかえられていた。
「もう…、マリア!ボクはもうこれ以上キミの危なっかしいの、見てられないヨ!どうしたんだい、今日は…」
「………あじあん……」
ひどい頭痛が更に強くなった。こんな時に、
こんなうるさいやつが来るなんて。
ていうか、ずっと見てたわけ?この変態は。
「アレ……?マリア、いつもより体、熱いネ…」
ぎゅっ、と抱きしめられた。うわ、超最低。抱きしめられちゃってんのに、抵抗さえできないなんて。思ったように体が動かないとか、最悪。突き飛ばすことも出来ない。
口も重くて喋る気にもならない。
「…ン…」
手でマリアローズを支えながら、もう片方の手でマリアローズの前髪をかきあげて、額に唇を押しつけた。あれ、…冷たい…?
「あ…、すごい熱だヨ…、部屋で寝てないとダメじゃないか
マリア!」
その言葉で、アジアンに何をされたのか気がついた。
ぼんっ!と効果音がつきそうなほどに、顔を真っ赤にする。いや、顔だけじゃないって。
体中が、頭のてっぺんから足の指先まで、
熱を持ったみたいだ。もう持ってる、かも。
「マリア?」
「な……っ、ななな、何す……何で唇…………!!?」
キョトンとするアジアンが、クスッと笑った。
「両手ともいっぱいいっぱいだったからネ。それに、唇は熱を感じやすいから、分かりやすいんだヨ?マリア」
ろくな抗議もさせてもらえず、
抱きかかえられたまま部屋に戻され
無茶はするなとかなんとかいろいろ言い聞かされたあげくに
看病するとか言い出して、
もうしっちゃかめっちゃかだった。
ただ、アジアンは手慣れているのか看病するのがうまくて、三日で熱が下がってしまった。
…全快したマリアローズはいつもの倍アジアンにいたずらされまくってものすごく不機嫌になっており、
八つ当たりされてしまった半魚人がいたとか。