稲妻な部屋。

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「ふぅ…」

扉の前で小さな溜息をついた。
決して何か不快なことがあったからではない。
楽しくて、夜になると明日が待ち遠しくなる…そんな今の生活が気に入っている証だ。
「ま、それも君のおかげなんだけどね」

小さな独り言は誰も聞いていない。

ふ、と優しく微笑みながらドアノブを握ってゆっくりドアを開けた。

「――…〜♪」

ご機嫌そうな鼻歌が聞こえた。
何かいいことでもあったんだろうか。
可愛いな。つい笑ってしまってから声をかける。
「リュウジ、ただいまー」

「…!…ヒロト!おかえりなさい!」

「うん、ただい…ま…っ!!?」

開いた口がふさがらなかった。
左手に下げていたスーパーのビニールを落っことしてしまった。

「あの、ヒロト…おかえり。買い物、ありがと」

「あ、うん。…じゃなくて!リ、リ、リリュウジ、その格好は…!?」

裸エプロン:主に新婚(またはごっこ)をする時定番の必須アイテム。ちらちら見える肌の色気が半端なく、インパクトがかなり強いためになかなか嫁はやってくれない―…
はずなんだが。
「ん…、いや、ちょっとやってみたくて…」

「ヤッてみたくて!?」

誘惑前提!?
頭がくらくらしてきた。
体中の血が頭とある場所に集まってしまう。

そういえばドアを開けっぱなしだったと気づいて後ろ手にあわてて閉める。

「あっ、そうそう、こんな感じだったかな…」

「え、…」

「ヒロト、おかえりなさい。ご飯にする?お風呂にする?それとも……お、俺?」


……………
……………………………。

ぐらっ。

「ひ、ヒロト!?ちょっ、大丈夫?」

「…っ」


眩暈がする。
今までこんなことでこんな風になんてならないだろ、と思っていた。はっきり言って、秋葉とかに居る人たちのことを馬鹿にしてた。神様ごめんなさい。俺今まで信じていませんでした。
でも今確信した。

これこそ、萌え!!

照れながらちゃんとこっちを見て言ってくれたリュウジに欲情した。
最低だな、俺!

とか思いつつ、体は興奮しきっていた。

頭がいっぱい、声も出ない。

「あ、あの…ヒロト、ツッコんでくれないと恥ずかしいんだけど…」

「突っこんで欲しいの!?」

思いっきり詰め寄ってしまった。
と、同時につんのめってこけた。

「っ…!」
「わっ…!」
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