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□パパそんな言葉が聞きたいんじゃありません
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「……父さん、話があるんだ」

「んー? なぁに二葉くん」

「そんなコーヒー飲みながらじゃなくて」

「真面目な話?」

「ああ、昨日一葉と寝た」

「ぶしゅー!」

「……うわ」

「ね……寝たって何!?」

「きたねぇ……寄るな」

「この際いつもの暴言は流すから! ねぇ寝たって」

「だから」

「あ、いや一緒の布団で眠ったってことだよね! は、ははやだパパったらははは」

「いや正確にはセ」

「おおおおおい!」

「……るさいな……」

「いや流すよ! この際流す! ね、眠っただけじゃないってこと?」

「ああ」

「な……どどどうして」

「だって一葉が可愛すぎて我慢できなかったんだもん」

「だもんとか! か、一葉くんはなんて」

「……き、君がそうしたいなら……って」

「無駄に上手いよおおおもうやだあああ」

「まぁ、そういうことだから」

「一葉くんは今……」

「寝てる」

「どこで」

「俺の部屋で」

「……もうお昼」

「うん、身体が辛いんだって。昨日(っていうか今朝)はちょっと(じゃなく)無理させたからな(可愛かった)、起きられないんだろ」

「含み!」

「だから寝てる(一糸纏わず)」

「含み!!」

「まぁ、そういうことだから」

「ちょ、ねぇ君たち兄弟だよ」

「うん、ゲコクジョウ」

「このオタクが」

「じゃあ部屋戻る」

「ま、待って」

「……あん?」

「何なのその目! 一葉くん寝てるんでしょ!? そっとしておいてあげなよ」

「心配しなくても何もしない(今日は)」

「含み!!!」

「大丈夫だ、卒業したら俺ら家出るから。あんたが悶々することもない」

「いや……、いやするよ! 見えない分不安になるよ!」

「やだ……妄想癖?」

「本気で引いた顔をするなあああ! だから、大体君らは兄弟だって」

「大丈夫だ、式にはちゃんと呼んでやるから」

「大丈夫なことひとつも無いよ! しかも上から目線だなおい」

「一葉には白無垢を着せようと思ってる」

「ほ……」

「ほ?」

「……本当に呼んでくれるの」

「勿論」

「……」

「……」

「信じるからね」

「ああ」

「……、あの、カメラは」

「持ち込み禁止。携帯電話の電源もお切り頂きますようお願い申し上げます」

「このっ……家を出るなんて勝手なことを言うのはやめなさい二葉! 現実を見据えて生きろ」

「急に手の平返しやがってこのぶりっこ野郎」

「……んだとこらあああ!!」


 しばらくしてから隣のお兄さんが声漏れてますよと教えに来てくれたけど、それでも一葉はリビングに入っていくことができなかった。





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