purify〜神のいない月

□第弐夜
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「えっちぜ〜ん、打ち合いしようぜ。」
「いいっスけど・・・。」



今日は妙に目が疲れる・・・・・・気がする。

打ち合いをしていてもボールじゃない何かが視界の端を掠める感じで、いまいち集中出来ない。



「今日、調子悪そうだね、越前。」
「はぁ・・・・・・。」



何かを捉えようとしても直ぐにいなくなる。
かと思うとまた現れて見失うの繰り返し。



「・・・朝からなーんか変なんスよね。」



俺はフェンスの向こうの林を見た。
まだ周りは明るいのに林の中だけ妙に暗く見えた。



「越前もかい?実は僕もだよ。」
「何か変な感じするんスよね、あの林・・・。」



不二先輩も感じるって事はマジでヤバい?



「おいおい、止めてくれよそんな話・・・。」
「そう云えば越前の家はお寺だったよね・・・。」



大石先輩とタカさんが青い顔をする。

まぁ、うちの坊主は生臭坊主だけどね。
信仰心が在るとも思えないし。



「っ!?」
「越前?」
「今、人が・・・。」
「はぁ?何云ってるんだにゃー?誰もいないぞー。」



一瞬だったけど、確かに見えた人影。
背中に寒気が走った。

マジでやばい気がする・・・。
親父に札でも貰おうかな・・・。



「冗談云ってないで、練習始めるぞ。」
「うぃーす。」




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