ホスト部にご用心

□第三話
1ページ/4ページ




「で、如何だった朝練は?」



只今昼休み。
慶と零は屋上にて昼食中。



「うん・・・。」



うん、と呟いた零の顔は、明らかに曇っている。



「・・・何か前より壁、感じちゃった。」
「壁・・・?」
「何かね・・・。フェンスの向こうからだと全然応援できるのに、目の前にすると心臓バクバクで・・・。」
「そういうもんでしょ?人を好きになるって。」
「そうかな・・・。」



やはり零の顔は依然曇ったまま、フェンスに手をかけ、テニスコートを見やる。
屋上からは誰もいないテニスコートが良く見えた。



「そうよ。・・・・・ま、でも逃げるのは頂けないけどね。」
「う、うぅ・・・。」



恥ずかしかったとは云え、あんな全速力で逃げられたら、逆に嫌われたと思われるわよ。
と慶が云ったら、それは困るって零は涙目。



「放課後の目標は笑顔で切原君にドリンクとタオルを渡す事。良い?」
「えぇ!?」
「えぇ!?じゃないの。何時までマネジャー続けられるか判らない以上、余裕はないのよ。」
「うん・・・、そうだよね・・・。」
「間違っても逃げるんじゃないわよ。」
「・・・はぁい。」
「放課後は朝練より仕事多いし、フォローはしてあげるから。」
「有難慶・・・。うっしゃ〜!俄然やる気出て来たぞ〜!!」



フェンスをガシッと掴み、そう叫んだ零。
その顔に先程の曇りは見えなかった。

この元気が切原君の前で出せると良いんだけどねぇ。

慶はそう思わずにはいられなかった。



次→
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ