ホスト部にご用心
□第三話
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「で、如何だった朝練は?」
只今昼休み。
慶と零は屋上にて昼食中。
「うん・・・。」
うん、と呟いた零の顔は、明らかに曇っている。
「・・・何か前より壁、感じちゃった。」
「壁・・・?」
「何かね・・・。フェンスの向こうからだと全然応援できるのに、目の前にすると心臓バクバクで・・・。」
「そういうもんでしょ?人を好きになるって。」
「そうかな・・・。」
やはり零の顔は依然曇ったまま、フェンスに手をかけ、テニスコートを見やる。
屋上からは誰もいないテニスコートが良く見えた。
「そうよ。・・・・・ま、でも逃げるのは頂けないけどね。」
「う、うぅ・・・。」
恥ずかしかったとは云え、あんな全速力で逃げられたら、逆に嫌われたと思われるわよ。
と慶が云ったら、それは困るって零は涙目。
「放課後の目標は笑顔で切原君にドリンクとタオルを渡す事。良い?」
「えぇ!?」
「えぇ!?じゃないの。何時までマネジャー続けられるか判らない以上、余裕はないのよ。」
「うん・・・、そうだよね・・・。」
「間違っても逃げるんじゃないわよ。」
「・・・はぁい。」
「放課後は朝練より仕事多いし、フォローはしてあげるから。」
「有難慶・・・。うっしゃ〜!俄然やる気出て来たぞ〜!!」
フェンスをガシッと掴み、そう叫んだ零。
その顔に先程の曇りは見えなかった。
この元気が切原君の前で出せると良いんだけどねぇ。
慶はそう思わずにはいられなかった。
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