種短編
□こいとき PHASE−2
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「拙い!」
俺はエリカを超特急で走らせた。
約束の時間は7時、只今6時45分。
幾ら後15分在るとは云え、相手方より早く着いていなければならない。
駆け込むようにSEEDビルに入り、一直線にエレベーターへと向かう。
丁度、女の人がエレベーターに入り、扉が閉まろうとする処だった。
「待って下さい!乗ります!!」
閉じかけた扉が再び開いた。
俺の声はちゃんと女の人の耳に届いたようだった。
「有難うございます。」
俺はお礼を云いながらエレベーターに乗った。
「いいえ、何階ですか?」
「20階、お願いします。」
ウイィィィィン、と機械独特の音を立てながら、エレベーターは上昇して行く。
ランプが20階にしか点いていない処を見ると、彼女も20階へ行く事が察せられた。
俺は奥の方へと入った為、顔は見えないが、先程の優しげな声と云い、格好と云い、それなりの教養の持ち主だと思う。
俺は走った事で乱れた服装を正しながら、そんな事を考えた。
10、11、12・・・。
まるでカウントダウンするようにランプを見つめた。
13、14、15・・・。
現在6時55分。
ギリギリだな・・・。
16、17、18、19・・・。
次だ、と思った瞬間、20の文字は其処には現れなかった。
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