purify〜神のいない月

□第捌夜
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「「「「「手塚(部長)、誕生日おめでとう!」」」」」



クラッカー音が部室内に響きわたった。
本日、10月7日は手塚の誕生日。
と云う事で朝から何かと祝われてはいるが、部活終わりにレギュラー達がサプライズケーキを用意していた。
それをいつもの無表情で消す彼を満足そうに笑うレギュラー達。



「ケーキ早く食いましょ、ケーキ!」
「桃、仮にも手塚にやったものなんだぞ。」
「気にするな。」



わいわいとお菓子やらジュースやらを囲んで喋り出せば、すっかり日が沈んでしまうのは当然の事。
だが竜崎先生に許可は取っている為、大丈夫な筈だった。
本来ならば・・・・・・。



「何してんの!?あんた達!」



ドアを壊さんばかりの勢いで開け、怒声を浴びせたのは禊。



「・・・何って、お祝い?」



突然の来訪にも普通に返すのは不二。
桃城や大石、河村などは驚いたまま固まっていた。



「何でさっさと帰らなかったの!」
「そう云う自分だって同じじゃん。」
「もう!これだから何も知らない奴は・・・。」



忌々しそうに髪をかき揚げる。
当然だ、日が沈めば鬼門の傍の校内では異形のものが活発になる事を彼女は知っているからだ。



「逃げなさい。」
「え?」
「逃げなさい、早くこの場から。」



帰りなさい、ではなく逃げなさいと云う禊。
その場にいた全員が首を傾げた瞬間だった。



「な、何だ!?」



チカチカと蛍光灯がきれかけのように点滅する。
部室内全ての蛍光灯が。



「何で?さっきまで普通だったじゃん。」
「チッ。」



禊が舌打ちをするのと照明が完全に落ちたのとはほぼ同時だった。



「ワン!」



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