purify〜神のいない月

□第参夜
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「オン。」



徘徊していた異形を祓う。
今現れているのは、神がいなくなって浮かれている雑魚だ。
本当に力を持つものはこれから徐々にその姿を現すだろう。

・・・・・・面倒だ。



「禊。」
「ん?」



祓ってから出て来やがって。
いや、南風がサポートに入っているのは知ってるけど。
サポートが必要なほど強い奴も早々ない。



「一つ聞くが、我の姿は一般人には視えぬよな?」
「・・・あんた、私の何倍生きてんのよ。」
「250倍。」



だったら何で私に聞くかなぁ?
自分の方がよっぽど詳しいくせに。
何を真面目に聞いているんだか。



「当たり前でしょ、ちゃんと遁してれば視える訳ないわ。」



遁は道。
現世に流るる、気の道。
この道を通る事で本来かかる時間より早く遠くへ移動が可能となる。
そして遁が視える者もまた限られている為、遁をすればその姿は視えなくなる。



「・・・・・・。」



何、その沈黙・・・。



「・・・まさか、してなかったとか云うんじゃないでしょうね。」
「いや・・・。多分していた。」
「多分〜?」



多分って随分と曖昧な事。



「ま、中には二、三人いるかもね。」



寺や神社の子供ならば多少霊感が在っても可笑しくはないし。
突発的に敏感になる人間もいない訳じゃない。
でも所詮視えるだけだ。



「調べておいた方がいいかもね。視えるだけの人間は狙われ易いし。」
「職員室とやらに忍び込めばよかろう。」
「そうね・・・。太陽が昇ったら探してみましょう。」



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