purify〜神のいない月
□第肆夜
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「シュ〜・・・。」
今日は体の動きが鈍いな。
何時も通りメニューをこなしているつもりなのだが。
何となく所々に違和感を感じる海堂。
疲れが溜まっているのか?それとも・・・・・・。
「・・・!」
はらりと目の前に舞うのはいつも頭に巻いているバンダナ。
咄嗟に掴むと頭が妙に涼しい。
・・・・・・ほどけた?
どんなに激しく動いても取れないのが密かに自慢だった。
「・・・・・・フシュ〜。」
「海堂、どうかしたか?」
眼鏡を光らせ表情を読ませないようにしているのか、俺を見下ろす乾先輩。
「・・・・・・別に。」
そう、別に何があった訳じゃない。
違和感を感じるだけで、それすらもはっきりとは云えない程度。
「まぁいい。それより今日の動きはいつもより−3%ほど鈍いな。」
「・・・・・・。」
何も云い返せない。
解決法もない。
ただがむしゃらに動けば変わるとも思えない。
「ん?」
ピシッと嫌な音が鳴る。
何の音かと思いきや、乾先輩の眼鏡にひびが入っていた。
「・・・・・・眼鏡にひびが入る確率0.1%だったんだが・・・。」
直ぐ様替えの眼鏡をかけ直す先輩。
・・・何で持ってんすか。
空気が淀んでんのか・・・。
からりとした青空の癖に、何故かそんな事を思った。
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