purify〜神のいない月

□第肆夜
1ページ/3ページ




「シュ〜・・・。」



今日は体の動きが鈍いな。
何時も通りメニューをこなしているつもりなのだが。
何となく所々に違和感を感じる海堂。
疲れが溜まっているのか?それとも・・・・・・。



「・・・!」



はらりと目の前に舞うのはいつも頭に巻いているバンダナ。
咄嗟に掴むと頭が妙に涼しい。

・・・・・・ほどけた?
どんなに激しく動いても取れないのが密かに自慢だった。



「・・・・・・フシュ〜。」
「海堂、どうかしたか?」



眼鏡を光らせ表情を読ませないようにしているのか、俺を見下ろす乾先輩。



「・・・・・・別に。」



そう、別に何があった訳じゃない。
違和感を感じるだけで、それすらもはっきりとは云えない程度。



「まぁいい。それより今日の動きはいつもより−3%ほど鈍いな。」
「・・・・・・。」



何も云い返せない。
解決法もない。
ただがむしゃらに動けば変わるとも思えない。



「ん?」



ピシッと嫌な音が鳴る。
何の音かと思いきや、乾先輩の眼鏡にひびが入っていた。



「・・・・・・眼鏡にひびが入る確率0.1%だったんだが・・・。」



直ぐ様替えの眼鏡をかけ直す先輩。
・・・何で持ってんすか。

空気が淀んでんのか・・・。
からりとした青空の癖に、何故かそんな事を思った。



次→
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ