種短編

□こいとき PHASE−2
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ガゴン、と嫌な音が鳴る。



「「ガゴン?」」



俺と女の人の声が見事揃った。
同時にエレベーターが止まった。



「もしもし?何か在ったんですか?」



彼女は冷静に管理室との通信を試みる。



「もしもし?もしもし?」



然し、通じてはいないようだった・・・。



「停電、でしょうか?」
「いや、それにしては電気が点いて・・・。」



いる、と云い切る前に、エレベーター内は暗闇と化した。

俺は前は見えないものの、勘でエレベーターの扉に近付く。



「誰か!?誰かいませんか!?」



ガンガンと叩いて叫んでみるものの・・・、空しく響くだけだった。



「そうだ、携帯・・・。」



彼女の一言で二人とも自分の携帯を探す。
パカ、と携帯を開くと、一瞬その眩しさに目を閉じる。
携帯の画面がこんなに明るく感じたのは初めてかもしれない。



「・・・・・・圏外だ。」



期待を込めて彼女の方を見ても、



「・・・私もです。」



彼女の携帯も圏外だった。

万策尽きた、と云う事になるんだろうか。



「・・・・・・。」
「・・・・・・。」



俺達の間に沈黙が流れる。
やっと目が慣れて来た頃、女の人の方が沈黙を破った。



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