ペーパー

□壊れゆく 君の世界
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注)一部、少しグロいです。汗



君の世界を壊そう。何よりも綺麗で、純粋な君の世界を……。



それは、突然の出来事であった。
いつものように市内巡回の最中。まるで不審者をお手本にしたような輩を見つけた
土方は、思わず後を追い掛けた。
男は土方が、後ろから追っていることに気付いているのか。どんどんと路地の奥の人気のないところに向かっていた。一瞬、応援を呼んだほうがいいかとは思ったがもう今更だ。携帯電話など掛けていたら話し声で気付かれてしまうだろうし、メールなどしているような余裕などない。
本来巡回は、こんな時の為に二人一組で行うのが基本であったが、この日は沖田と
当番に当たっており、彼は巡回を始めて早々に姿を消していたのだ。
チッと、思わず舌を打つ。
まぁ、いい。例え罠であろうと、どうにかなるだろう。
そう思うほどには、自分の剣の腕に覚えはあった。それが油断に繋がったのだと言われれば、否定は出来ない。
前の男に気を取られていて突然後ろから伸びてきた腕には全く気が付かなかった。
こんなことは初めてだ。土方は、ひどく人の気配に聡い。その彼に気配を全く悟らせないことが出来る人物など、そうはいないはずなのだ。
しまったと思ったときには、口許に布のようなものが押し当てられ、急激に意識が遠のいていく。
しまった、と後悔した時には、既に遅かった。恐らく薬剤が、染み込ませてあったのだろう。
急激に沈みゆく意識の隅で、どこかで知っている声を聞いたような気がした。

誰だ……?

しかし、それを思い出すことは、出来なかったのだ。





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