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□一
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かえの自室を出れば待機していた山崎君が近寄ってきた。二人で部屋に向かい、ざっと先ほどの話をする。


「あからさまな罠、ともとれますが……」

「なんとも言いづらいところですね。手紙は回収出来ませんでしたが、文面だと私たちの存在に気付いた様子はありません。勝機ととることは可能でしょう」


山崎君は言葉に頷く。

それから勢力図と地図を合わせて、丸の周囲の確認をすれば、案の定あの黒服の男がいる勢力と合致していた。


「……完璧ですね」

「襲撃は四日後。その二日前、つまり明後日、勢力の本拠地を叩こうと思います。今いる三番隊隊士は少し心許ないので、沖田君のところにいる彼らを呼びます。彼らとここにいる子たちに代わってもらいましょう」

「ああ、あの人たち疲れ切ってますもんね……」


山崎君が思い浮べたように私も手下たちの疲れた顔を思い出す。

ことごとくかえに拉致られ、偽沖田君の例の手紙を見せられたらしく、いろいろと精神が疲れているようだった。正直あの状態じゃ倒せるものも倒せない。


「さすがにかわいそうですからね……。山崎君は一足先に見張りをお願いします。明後日になったら友近に指揮をまわし、そちらに送ります」

「斎藤さんはどうするんですか?」

「私は引き続きお嬢様の護衛をします。私がいなかったらご両親が心配なさりますから」

「そういいつつサボるつもりじゃないでしょうね……」


疑い深い眼差しににこやかに笑い返しながら適当にかわす。


「まさか。これが終わったら遊びに行きたいですね」

「遊びって……副長に夜遊び禁止されたらしいじゃないですか」

「それはそれ、これはこれですよ。無事に終えたら土方君だって許してくれますよきっと。山崎君だって行きたいでしょう?」


平然と尋ねればしどろもどろになっていた。山崎君も大概可愛らしい。

この、相手を軽く見積もった私の浅はかさが、凶刃となって自身へ降り掛かるなど、今の私は思いもしなかったのだ。

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