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□君がつけた赤い痕
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「迷惑かけたんだからなんかやってもらいましょうや」
そう言いだしたのは案の定沖田君だった。
耳半分に聞きながら酒を飲んでる彼ら三人を羨ましく睨む。
退院祝いということで内輪の飲み会が始まったのはいいが、医者から二週間飲酒禁止を言い渡された私としては憎い限りである。
仕方ないからおつまみばかりつまんでいた。飲みたいなぁ……。
ちなみに山崎君は所用で抜けていた。必然的に沖田君の弄り対象は土方君にロックされるはずなのだが、なぜかこちらに流れてくる。
「おう、いいなそれ。おめえもたまには面白いこと考えつくじゃねーか」
土方君もノリノリだ。局長はうつらうつら舟を漕いでいるから問題ない。
既に泥酔しているからどうせ忘れるだろうと高をくくり、へえと鼻で笑って彼を促した。
「ある程度のことならやってさしあげますよ」
「いいやしたね?土方さん聞きやした?」
「もちろん聞いたぜ」
「じゃあ赤面もので」
「具体的にいうとなんだ?女装、つうか女の格好か?」
「土方コノヤローのくせにたまにはいいこといいやすねィ。……振袖、じゃあつまんねェ」
「ナース」
「局長寝てるからって調子のると斬りますよ?」
何ぼそっと話混じってるんだ。
が、局長のその発言で馬鹿二人に熱が入った。
目を見合せ、にやりと笑ってこちらを見ると、調子を合わせてこういった。
「「メイド服」」
……。
……酒を飲んででろんでろんに酔っている、ということを考慮して、なら本気にとる必要もあるまい。
軽く笑ってうなずく。
「いいですよ、そのくらいなら。きっと似合わないでしょうし」
君ら忘れるだろうし。
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