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□二
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「クッソッサドォォォオオ!!!!!!!」
突然聞こえた罵声と共に、見事に沖田君を吹っ飛ばして現れた少女に目を見開いた。さっき見た男と同じ髪の色だ。
彼女はぐるんっと私を見ると心配そうに尋ねてくる。
「お姉さん大丈夫アルか?セクハラされてないアルか?」
「え、ああ、大丈夫だよ。ありがとう」
「アイツとんでもないサドアル。近づかないほうがイイヨ」
「てんめぇえくそチャイナァアア!!今日という今日は許しやせんぜェ!!!!!」
「うるさいアル負け犬」
「ほう待ってろてめェに首輪つけて鳴かせてやらァ」
「沖田君……?こんな可愛らしいお嬢さんに対して何いってるんですか……?お嬢さん、お名前を聞いても?」
絶対零度の眼差しで沖田君を睨み付けてから、チャイナ服の少女に微笑みかける。彼女は目を丸めてから、少し頬を赤くした。可愛らしい。
「か、神楽アル。お姉さんは?」
「私は斎藤壱。こんな格好をしているけど一応男だよ」
「マジでか」
「おいこら斎藤口説いてんじゃねーやい。しかも何頬染めてんでィ気色わりぃ」
「んだとォォオ!!!」
「まあまあ神楽も沖田君も終わりにして。お茶でも飲みに行こうか。奢るよ」
「イヨッシャァアアただ飯アル!!」
「ちょ、斎藤チャイナめっちゃ食うんですぜィ!?」
「そうなんですか?まあどうにかなるでしょう。あ、沖田君は自腹で」
「フフンざまぁみろネ!!」
「調子のんな!!!」
子供のように啀み合う二人をその場から離そうと促した。さっきからずっと突き刺さる視線が一際強くなる。
ちら、と後ろを振り返れば、かよの店にいた桃色の髪の男が、ブラインド越しにこちらを見ていた。鋭い視線が交差する。
――ただ者では、ない。
「何してんでィ。いきやしょう」
「――ええ」
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