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□二
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お箸がとたんに止まる。既に沖田君は知っているのだろう、我関せずとばかりにパフェを食べていた。

大きな青い目が揺れる。それを見て、ふっと笑った。


「別にとって食ったりはしないよ。初めて見たから驚いただけだ。ごめん」

「大丈夫ネ。それよりよくわかったナ、私が夜兎って」

「昔、天人に関わったことがあってね、知ってるんだ。

ついでにもう一つ。この街には君の他に夜兎っているのかな」


こちらのほうがよほど衝撃が大きかったらしい。彼女はびくっと震えてお箸を取り落とした。禁句、ってことか。

沖田君はその事情を知らないのか、神楽を訝しげに見ていた。恐がらせたことを詫びるつもりで、彼女の柔らかな桃色の頭を撫でる。一瞬震えた彼女だったが、目が合うとそっと笑った。


「ごめんね」

「イイヨ」

「何二人で完結してるんでィ説明しろよ」

「いつか君には話してあげますよ。神楽、次でラストオーダーね」

「マジでか!!!!お姉さんデミグラスハンバーグとチョコバナナパフェとあんみつ一個ずつ!!お持ち帰りするアル!!」


人の金でお持ち帰りしやがった。


「あーもしかしてメガネ君と旦那の分かィ?」

「そうヨ!私だけ食べたら悪いアル」

「いい精神だけどまずは私に遠慮しようか」

「う……」

「ところで沖田君、その二人誰ですか?」

「銀ちゃんと新八アル!!二人と私と定春で万事屋ネ!何かあったら相談するヨロシ!」


元気いっぱいに答えられた。どこかで何度か名前を聞いたことがあるような……。土方君あたりだったかな。


「偉いなちゃんと仕事して。お持ち帰りも許してあげよう」

「マジでか!!壱太っ腹アル!!最高ネ!!」

「ありがとう」


くしゃくしゃと彼女を撫でて、適当に会計を済ませ(奇跡的に足りた)、外に出る。既に街は夕闇へと色を変えていた。嫌がる沖田君を連れて、神楽を家まで送る。



明るい太陽のような彼女を見ていると、どうしてあんな子が夜に潜む兎なのか、さっぱりわからなかった。


「バイバーイ!」


彼女よりも、よほど夜に浸っている私が、どうして平然と街中を歩けるのか。


「おやすみ」


わからなかった。

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